首都圏「中学受験」、2020年は「非常に厳しい入試」だった
首都圏「中学受験」、2020年は「非常に厳しい入試」だった
近年まれな激戦だった2020年の首都圏中学受験。各校の入試担当者による生々しい証言も交えながら、数回にわたって振り返ってみたい。(ダイヤモンド・セレクト編集部)
● 短期決戦志向のハードな受験状況
2020年の首都圏中学入試は志願者も増加し、受験生にとってはたいへん厳しいものだった。多くの学校が、今年の入試は「非常に高いレベルでの選抜となった」と口をそろえる。例年と入試問題の難易度に変化はなくても、受験者の平均点が上がったことで、合格者最低点がかなりかさ上げされている。
例えば吉祥女子では、激戦だった2月2日の第2回入試で東京女子ご三家や国立附属校の上位生に加えて、入試日を3日にずらした青山学院の志願者も受験、合格最低点253点は340点満点の74.4%と驚異的な高水準となっている(1日の第1回は同67.6%)。
中位校でも、受験生の併願先や受験生平均点の上昇を見て、「全体的に受験生のレベルが上昇している印象です」(八王子学園八王子)と言うように、今年の大学入試でも見られた受験生の安全志向に伴う中堅・中位校の難度上昇が中学受験でもうかがえた。
合格者の入学手続き率も高く、例えば品川女子学院の2月4日入試では97%とほぼ全入状態になったほどである。
このことは2020年入試のもう一つの顕著な特徴である「短期決戦」志向の反映でもある。東京・神奈川でいえば、2月1日と2日の入試で何とか合格を得たいという気持ちが親子ともに高まり、3日や4日の受験ではわらにもすがる状況になっていたことがうかがえる。
その背景には、同日で午前・午後の2校受験が当たり前になっていることが挙げられる。難関・上位校の午前入試は4科が普通で、終了後に学校を出ると13時頃になるが、それから14時や15時頃に設定されている午後入試に臨むことになる。算数1科の1日午後入試が大人気だった巣鴨と世田谷学園には男子難関・上位校受験生が殺到している。
短期決戦志向も極まったエピソードが出ている。 「(午後入試の)試験終了後に、他の学校に向かわれた受験生の姿もありました」。なんと、トリプル受験である。まだ小学生である受験生への負担は大きく、時間に間に合わせるためタクシ-を利用、中には車に酔っている生徒も見受けられたという報告もあった。
「あくまで主観ですが、1日目から3日目にかけて、字の丁寧な答案が少なくなっていくような気がしました。小学生にとって、午前、午後と続く3日間の受験は負担が大きいのだと思いました」と指摘する先生もいる。
次ページでは、かえつ有明を筆頭とする人気校について、「湾岸系」と「帰国生」という2つの要因から見てみよう。
● 短期決戦志向のハードな受験状況
2020年の首都圏中学入試は志願者も増加し、受験生にとってはたいへん厳しいものだった。多くの学校が、今年の入試は「非常に高いレベルでの選抜となった」と口をそろえる。例年と入試問題の難易度に変化はなくても、受験者の平均点が上がったことで、合格者最低点がかなりかさ上げされている。
例えば吉祥女子では、激戦だった2月2日の第2回入試で東京女子ご三家や国立附属校の上位生に加えて、入試日を3日にずらした青山学院の志願者も受験、合格最低点253点は340点満点の74.4%と驚異的な高水準となっている(1日の第1回は同67.6%)。
中位校でも、受験生の併願先や受験生平均点の上昇を見て、「全体的に受験生のレベルが上昇している印象です」(八王子学園八王子)と言うように、今年の大学入試でも見られた受験生の安全志向に伴う中堅・中位校の難度上昇が中学受験でもうかがえた。
合格者の入学手続き率も高く、例えば品川女子学院の2月4日入試では97%とほぼ全入状態になったほどである。
このことは2020年入試のもう一つの顕著な特徴である「短期決戦」志向の反映でもある。東京・神奈川でいえば、2月1日と2日の入試で何とか合格を得たいという気持ちが親子ともに高まり、3日や4日の受験ではわらにもすがる状況になっていたことがうかがえる。
その背景には、同日で午前・午後の2校受験が当たり前になっていることが挙げられる。難関・上位校の午前入試は4科が普通で、終了後に学校を出ると13時頃になるが、それから14時や15時頃に設定されている午後入試に臨むことになる。算数1科の1日午後入試が大人気だった巣鴨と世田谷学園には男子難関・上位校受験生が殺到している。
短期決戦志向も極まったエピソードが出ている。 「(午後入試の)試験終了後に、他の学校に向かわれた受験生の姿もありました」。なんと、トリプル受験である。まだ小学生である受験生への負担は大きく、時間に間に合わせるためタクシ-を利用、中には車に酔っている生徒も見受けられたという報告もあった。
「あくまで主観ですが、1日目から3日目にかけて、字の丁寧な答案が少なくなっていくような気がしました。小学生にとって、午前、午後と続く3日間の受験は負担が大きいのだと思いました」と指摘する先生もいる。
次ページでは、かえつ有明を筆頭とする人気校について、「湾岸系」と「帰国生」という2つの要因から見てみよう。
勢いを増す「湾岸系」と「帰国生」
前ページの写真キャプションにもあるように、かえつ有明は2020年入試で出願者数を大きく伸ばした学校の一つである。千代田区富士見から江東区東雲に移転、校名変更・共学化したのは2006年のこと。東京湾岸で新たなスタートを切った先駆的な存在だ。
かえつ有明では、「豊洲」「新浦安」「大井町」といった海沿いのエリアからの受験生が年々増加傾向にあるという。東京湾岸にタワーマンションが林立するようになったのは2000年代に入ってからで、タワマン新住民がエリア内にある中高一貫校を志望するようになってきている。
17年に板橋区坂下から江東区豊洲に移転してきた芝浦工業大学附属は中高一貫男子校である。2017年から高校が、21年からは中学も共学化する。こちらも出願者・受験者ともに過去最多となり、第1回入試出願者数が前年比+30%、第一志望者入試エントリーが+40%超と大人気となっている。
言語技術・コンピューター言語・英語コミュニケーションという3つの言語教育でグローバルエンジニアの育成を目指す「オンリーワンの教育」を標榜しており、系列大学のキャンパスも豊洲や芝浦などにある湾岸系だ。
20年に女子校から共学化し、校名変更した大井町にある品川翔英も、湾岸系の恩恵を受けた学校の一つだろう。前年までとは打って変わって、45人の新入生を迎えることになった。実に5倍である。
かえつ有明のもう一つの特徴は生徒の多様性にある。それは668人が出願した国際生入試に顕著で、新入生も4人に1人が国際生(帰国生)となっている。ここ数年は男女別クラスだったが、2020年から12年度以来の6年間男女共学クラス編成となる。各クラスに混合される国際生から受ける刺激もあって、中3~高2の間に1学期間~半年以内あるいは1年間の海外留学を志す一般生が年々増加、各学年在籍数の1割を超えるほどという。
新学習指導要領で示された「学力の3要素」を体現するようなこれらの湾岸系の学校は、2021年入試でも人気となりそうだ。
前ページの写真キャプションにもあるように、かえつ有明は2020年入試で出願者数を大きく伸ばした学校の一つである。千代田区富士見から江東区東雲に移転、校名変更・共学化したのは2006年のこと。東京湾岸で新たなスタートを切った先駆的な存在だ。
かえつ有明では、「豊洲」「新浦安」「大井町」といった海沿いのエリアからの受験生が年々増加傾向にあるという。東京湾岸にタワーマンションが林立するようになったのは2000年代に入ってからで、タワマン新住民がエリア内にある中高一貫校を志望するようになってきている。
17年に板橋区坂下から江東区豊洲に移転してきた芝浦工業大学附属は中高一貫男子校である。2017年から高校が、21年からは中学も共学化する。こちらも出願者・受験者ともに過去最多となり、第1回入試出願者数が前年比+30%、第一志望者入試エントリーが+40%超と大人気となっている。
言語技術・コンピューター言語・英語コミュニケーションという3つの言語教育でグローバルエンジニアの育成を目指す「オンリーワンの教育」を標榜しており、系列大学のキャンパスも豊洲や芝浦などにある湾岸系だ。
20年に女子校から共学化し、校名変更した大井町にある品川翔英も、湾岸系の恩恵を受けた学校の一つだろう。前年までとは打って変わって、45人の新入生を迎えることになった。実に5倍である。
かえつ有明のもう一つの特徴は生徒の多様性にある。それは668人が出願した国際生入試に顕著で、新入生も4人に1人が国際生(帰国生)となっている。ここ数年は男女別クラスだったが、2020年から12年度以来の6年間男女共学クラス編成となる。各クラスに混合される国際生から受ける刺激もあって、中3~高2の間に1学期間~半年以内あるいは1年間の海外留学を志す一般生が年々増加、各学年在籍数の1割を超えるほどという。
新学習指導要領で示された「学力の3要素」を体現するようなこれらの湾岸系の学校は、2021年入試でも人気となりそうだ。
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