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うちは完治専門」医師の言葉信じ“がん患者”が440万円自由診療受け転移…裁判所は“説明義務違反”認めたが賠償額75万円、原告「納得できない」

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うちは完治専門」医師の言葉信じ“がん患者”が440万円自由診療受け転移…裁判所は“説明義務違反”認めたが賠償額75万円、原告「納得できない」






うちは完治専門」医師の言葉信じ“がん患者”が440万円自由診療受け転移…裁判所は“説明義務違反”認めたが賠償額75万円、原告「納得できない」

9/7(月) 18:00配信



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弁護士JPニュース


被告クリニックで受けたANK療法についての“説明”を語る原告


「ほとんど治ります。私を信じてください」——。乳がんを患う女性が、医師の言葉を信じ、わらにもすがる思いで高額な自由診療「ANK免疫細胞療法」を受けることを決断。約440万円を支払ったが、期待した効果は得られなかった。


【図】「新しい治療」が“標準治療”になるまでの流れ


女性と家族は「医師の説明が不十分だった」などとして、クリニックを運営する医療法人社団などを相手取り約760万円の損害賠償を求めて提訴。東京地方裁判所は8月27日、クリニック側の説明義務違反を認め、医療法人社団に対し、75万5000円の支払いを命じる判決を言い渡した。


一方で、裁判所はANK療法そのものが医学的に無効とまでは認定せず、説明義務違反と治療費全額の損害との因果関係は否定した。請求額の1割にも満たない判決に、女性は4日に行った会見で「納得できません」と声を震わせた。


「延命ではなく完治専門ですから」医師の言葉で決断

判決文などによると、原告の女性は2017年に乳がんと診断された。手術や化学療法などの標準治療を受けていたが、副作用が強く、2023年8月頃に治療を中止。そんな中、元プロボクシング選手の動画で「ANK免疫細胞療法」を知り、関心を持ったという。


同年12月、被告となった医療法人社団が運営するクリニックを受診。医師から説明を受けた。


医師は、ANK療法について「あらゆる癌患者に対して有効」であり、分子標的薬「ハーセプチン」を併用すれば「更に効果を高めてくれる」などと、その有効性を強調した。記者会見で原告女性は、当時の医師の様子を次のように語った。


「悪いことは一切言わない。いいことだけしか言いませんでした。『うちは延命ではなくて完治専門ですから、ほとんど治ります』『私を信じてください』と言って、立ち上がって握手を求めてきたんです。この先生なら安心できると信じてしまいました」


女性はその場で診療契約を結び、ANK療法1クール(12回)分の費用として442万4000円を支払った。


治療後にがんが悪化、医師は「もうワンクールかな」

しかし、2024年1月から治療を受け始めたものの、女性のがんは快方には向かわなかった。同年3月中旬頃から痛痒さを感じるようになり、別の病院で検査を受けたところ、乳がんが皮膚やリンパ節に転移していることが判明した。


治療中に効果が見られないことを不安に感じた女性の息子が、医師に「もしこのまま最後までやり続けて効かなかったら、どうしたらいいんですか」と尋ねた際のエピソードを、記者会見でこう明かした。


「先生は『うーん、もうワンクールかな』と言って、指を丸めてお金のジェスチャーをしたんです。母が『2回やったら1000万円ですよ。芸能人じゃあるまいし』と言うと、『ははは』と笑っていました。お金のことしか考えていないんだと、すごく驚きました」



裁判所は「治療効果を誤認させる説明」と指摘

裁判で原告側は、ANK療法は効果が不確実で医療水準として未確立な治療法であり、クリニック側はメリットを過度に強調し、デメリットを具体的に説明する義務を怠ったと主張した。


これに対し、被告の医療法人側は、ANK療法は乳がんにも効果があるとする症例報告が存在すると反論。効果に個人差があることや、抗腫瘍効果が期待できない場合があることなども説明していたと主張していた。


しかし原告らによれば、治療後、がんの転移が判明してからクリニック側と面談した際には、医師はデメリットを十分に伝えなかったことを認め謝罪したといい、この時の録音データも裁判所に提出したという。


東京地裁は判決で、ANK療法について、ランダム化比較試験などを経ておらず、乳がんに対する症例報告も限られていることから「エビデンスレベルは高いものであるとは言い難い」と評価した。


その上で、医師の説明は、ANK療法に「相応の医学的根拠や治療成績があると受け取られる説明」だったと認定。効果に個人差があるといった点は口頭で触れず、同意書を渡しただけだったことなどから、「治療効果を誤認させるような説明をしたというべきである」として、説明義務違反を認めた。


しかし、治療費と説明義務違反との因果関係については、「標準治療を断念していた原告が、効果が出る可能性がわずかであってもその可能性に懸けてANK療法を実施するとの選択をした蓋然性は相応にある」として否定。賠償額は、原告に適応がなかったハーセプチン療法の費用と慰謝料、弁護士費用の合計75万5000円にとどまった。


「泣いてる方がいっぱいいる」自由診療のあり方に警鐘

記者会見に同席した、がん治療の専門家である勝俣範之医師(日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍内科)は、ANK療法の現在のエビデンスレベルは5段階で最も低い「レベル5(症例報告や体験談)」に過ぎず、研究段階の治療であると指摘。


「未確立の治療に関しては、研究レベルのものであることを患者にしっかり説明しなければならない。重要なのは、患者が自分で治療を受けるかどうか選択できるだけの正確な情報を得ることだ。今回の判決で裁判所が、クリニック側の説明が不十分であったと認定したことは医学的にとても大事なことだ」と判決の意義を語った。


一方で原告の女性は、クリニック側の説明義務違反と治療費全額の損害との因果関係が認められなかったことについて「納得できません」と述べ、「私が治療を受けている時にも、隣でご夫婦がANKを勧められているのを聞きました。正しい説明を聞かされないまま自由診療を受けて泣いてる方がいっぱいいると思います」と声を震わせた。


原告らは、代理人弁護士と相談し控訴する予定だという。


弁護士JPニュース編集部では、判決の受け止めなどについて被告の医療法人社団にも尋ねたが、「弁護士を通じて訴訟に対応しているため、回答は控える」とのことだった。


弁護士JPニュース編集部

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