銀行が新NISAを勧めてくれたから」…退職金2,000万円で投資デビューの60歳元会社員。夜も眠れず、胃痛に悩まされる日々
銀行が新NISAを勧めてくれたから」…退職金2,000万円で投資デビューの60歳元会社員。夜も眠れず、胃痛に悩まされる日々
山本さんも銀行との相談を重ね、退職金2,000万円のうち半分を普通預金に残し、残る1,000万円については、NISAを中心に運用することにしたのです。
銀行の言うことをきいていてはだめですね

銀行が新NISAを勧めてくれたから」…退職金2,000万円で投資デビューの60歳元会社員。夜も眠れず、胃痛に悩まされる日々
9/3(木) 8:30配信
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THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)
※写真はイメージです/PIXTA
「老後の安心のため」と退職金で投資を始めたものの、相場の変動に不安が募り、不眠や体調不良に陥ってしまうケースは少なくありません。今回は、新NISAをきっかけに強いストレスを抱えた60代男性の事例を通して、定年後の資産運用で後悔しないための「自分に適したリスクとの向き合い方」を紐解きます。
【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
定年をきっかけに投資を始めた60歳
「投資なんて、自分には関係ないと思っていました。でも、銀行が新NISAを勧めてくるので……」
東京都内に住む山本浩二さん(60歳・仮名)。中堅企業で35年、60歳で定年退職しました。退職金は2,000万円弱。同期のほとんどが定年以降も再雇用で働くような状況下、山本さんも再雇用を希望しました。
定年後の給与は月25万円。手取りにすると20万円ほどです。「新卒よりも少ないな」と苦笑する水準ではあるものの、5年間は絶対に働くつもりだといいます。
「年金はもっと少ない。今から貯金を減らすわけにはいかない」
65歳から受け取れる年金は想定月17万円。手取りにすると15万円強といったところ。60歳から65歳まで厚生年金に加入していれば、月5,000円程度は増える算段です。さらに2歳下の妻の年金給付も始まれば、夫婦で月26万円、手取りで月23万円程度を受け取れるというシミュレーション。
老後の生活がまだまだ不透明ななか、定年退職で手にした退職金は、まさに“お守り”といったところ。そんなとき、地元の銀行の掲示板で目にしたのは、退職金の運用についてのポスターでした。
「退職金は預金しておけばいいと思っていました。ただ『退職金を運用して安心の老後を』というポスターを目にして、興味を持ったんです」
早速、話を聞くことにした山本さん。銀行の担当者からは「新NISAなら運用益が非課税になります」と説明され、「ただ預けておくよりも、運用したほうが今はいい」と促されたといいます。
金融庁によると、2025年12月末のNISA口座数は2,820万6,434口座。60歳代は約418万口座、70歳代は約308万口座、80歳代以上は約159万口座で、60歳代以上を合わせると全体の31.4%を占めます。NISAは現役世代だけの制度ではありません。
山本さんも銀行との相談を重ね、退職金2,000万円のうち半分を普通預金に残し、残る1,000万円については、NISAを中心に運用することにしたのです。
定年後に始めた投資で、思わぬ逆効果
「投資なんて、無縁だったので……少しワクワクしていました」
ところが、問題は投資を始めてからでした。
「今日は米国市場がどうなった?」
山本さんが購入したのは、海外株式を中心とする投資信託です。昼間は気になりませんでした。しかし、夕方になるとスマートフォンを確認するようになりました。米国市場が開く時間が近づくと、ニュースや経済情報を検索します。米国市場は日本時間の夜に始まります。
「午後10時すぎになると、どうしても見てしまうんです」
最初は一度確認するだけでした。ところが、値動きが大きかった翌日から様子が変わりました。
午後10時半に確認。
午前0時すぎにもう一度確認。
午前2時ごろ、目が覚めるとスマートフォンを手に取る。
朝起きて、また確認する。
「寝る前に見なければいいと分かっているんです。でも、寝ている間に大きく下がっていたらと思うと、怖くて」
再雇用後も週5日、午前9時から午後5時までが勤務時間です。
「何度も何度もスマホでチェックしているから、仕事中は眠くて眠くて……」
また値動きに一喜一憂し、ストレスに感じることが多くなったからでしょうか。胃がキリキリすることも。何かあってはと思い病院を受診しましたが、大きな異常は見当たりませんでした。
そのような様子を見ていた妻から、「あなた、やっぱり投資は向いてない。これ以上のめりこむ前に、やめたほうがいいんじゃない?」と言われる始末。
「妻に言われてハッとしました。老後の安心のために資産運用を始めたのに、毎晩不安になって胃を痛めていたら世話がないですよね。自分は根っからの慎重派なんだと、痛感しました」
そう語る山本さんは、運用の規模を大幅に縮小することにしました。1,000万円のうち大半を定期預金に戻し、NISAでの運用は毎月数万円の定額積立に変更。「これなら下がっても気にならない」と思える金額まで下げたことで、ようやく夜も眠れるようになったといいます。
金融経済教育推進機構『金融リテラシー調査(2025年)』によると、期待収益率が+5%の投資に対しても「投資しない」と答えた、損失回避傾向が強い人の割合は全体の72.8%に上ります。また、購入経験があっても商品性を十分に理解せずに投資信託を購入した人の割合も29.3%に達しています。
新NISAの普及で投資のハードルは下がりましたが、山本さんのように自身の「リスク許容度」を把握しないまま、いきなり多額の資金を投じるのは禁物。まずは少額から始め、自身の性格や生活防衛資金を考慮し、心理的にストレスのない「心地よい投資額」を知ることが重要です。
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