煙たがられるのに票につながる?令和の時代も選挙カーが走る理由 #選挙のギモン

煙たがられるのに票につながる?令和の時代も選挙カーが走る理由 #選挙のギモン
1/28(水) 10:00配信

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毎日新聞
衆院選が公示される前、選挙カーの納車の準備が各地で進められた=神奈川県大井町で2026年1月16日、後藤由耶撮影
選挙が始まると、選挙カーが街中に現れる。「うるさい」との苦情も寄せられ、煙たがられることがある。それでもなぜ、選挙カーは走り続けるのか。
「鈴木次郎をよろしくお願いします。鈴木次郎、鈴木次郎、鈴木次郎です。鈴木次郎は国民のために頑張ります」
27日に公示された衆院選でも、こんなふうに候補者名を連呼する選挙カーがあちこちを走り回っている。【遠藤浩二】
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走行中は「連呼」のみ可能
選挙の風物詩のようなものだが、自治体には必ずと言っていいほど「赤ちゃんがせっかく寝てくれたのに、起きてしまった」などと苦情が寄せられる。
候補者のイメージダウンにもつながりそうだが、名前を連呼するには理由がある。
公職選挙法では、選挙カーが停止していれば政策などを訴える演説ができると定めているが、走行中は「連呼行為」、つまり同じことを繰り返し言うことしか認めていない。
好感度は上がらなくても…
街中を走る選挙カー。スピーカーから候補者名の連呼を大きな音量で流すため、住民から「うるさい」と苦情が寄せられることが少なくない=東京都八王子市で2024年10月、長谷川直亮撮影(画像の一部を加工しています
さらに、選挙カーが有権者の投票行動に結びつくとの研究もある。
大阪大大学院の三浦麻子教授(社会心理学)らの研究チームは2015年、岡山県との県境にある人口約5万人(当時)の兵庫県赤穂(あこう)市で市長選に立候補した男性に密着。研究チームの一人が選挙カーに同乗し、位置情報も調べながら選挙活動内容を記録した。
選挙後、無作為に選んだ有権者908人から得られたアンケート結果を分析したところ、選挙カーが自宅のそばまで来た人が候補者に投票した割合は、回答者平均の約2倍になった。これに対し、自宅から1キロ以上離れた場所にしか選挙カーが通らなかった人は、平均の約6分の1にとどまった。
一方、候補者に対する好感度にこのような差は見られなかった。
三浦教授は事前に「好感度が上がり、投票につながる」と予想していたといい、好感度が上がらないのに投票につながる結果に驚いたという。
「都会の選挙では状況は異なると思うが、選挙カーには投票を促す一定の効果があることが分かった。批判が目立つからといって、選挙カーで連呼する候補者が急に減ることはないだろう」
海外の事例は……
海外はどうなのか。
東京都江戸川区議を務めたこともある全日本インド人協会会長のプラニク・ヨゲンドラ(愛称よぎ)さん(48)によると、インドでは陣営の車が何台も連なって走り、1台に何十人も乗車することがある。
「選挙はお祭りで、とにかくスケールが半端ではない」といい、候補者名の連呼のほか、流行の音楽を大音量で流すそうだ。
エジプト出身で、山形県庄内町の元町議、スルタン・ヌールさん(54)によると、エジプトでも陣営が車から候補者名を繰り返して投票を呼びかける例があったという。
日本では選挙カーの連呼行為について、「騒音の苦情が多くなっている」と国会で取り上げられたこともある。
1983(昭和58)年、公選法改正に関する調査特別委員会でのことだ。後に首相に上り詰める小泉純一郎委員(衆院議員、当時)が「個人的な考え」と断ったうえで、こう述べている。
「たとえば私、『小泉純一郎であります』と言って回るのですが、名前を聞いたから(票を)入れてくれるなんて夢にも思っていないのですよ。しかし、連呼行為で各地域に来ないと『選挙運動をやっているのかわからぬ』『楽々当選すると思っているのか』と苦情といいますか注文があるのですよ」
それから年号も「平成」、そして「令和」へと変わった。時代が変わっても選挙カーはしぶとく、日本各地で走り回っている。
※この記事は、毎日新聞と Yahoo!ニュースによる共同連携企画です。
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