パイナップルと入れ歯を丸ごと飲み込んだ」→下の入れ歯だけレントゲンで見つからず、5日目に死亡…60代女性の命を奪った「不運すぎる事故」
パイナップルと入れ歯を丸ごと飲み込んだ」→下の入れ歯だけレントゲンで見つからず、5日目に死亡…60代女性の命を奪った「不運すぎる事故」

パイナップルと入れ歯を丸ごと飲み込んだ」→下の入れ歯だけレントゲンで見つからず、5日目に死亡…60代女性の命を奪った「不運すぎる事故」
6/22(月) 10:21配信
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文春オンライン
画像はイメージ ©nozomin/イメージマート
人間は、かくも簡単に死んでしまうのか――事件・事故で亡くなった死体や、死因が分からない「異状死体」を解剖し、身元確認や死因の究明を行う「法解剖医」の飯野守男氏は、これまでさまざまなケースを見聞きしてきたという。
【写真】「入れ歯を丸ごと飲み込んだ」60代女性を襲った悲劇
そんな飯野氏による新著『 法医学教授が教えている 死体の授業 』(飛鳥新社)から、不運な事故と医療ミスによって亡くなってしまった事例を紹介する。
◆◆◆
「総入れ歯を飲み込んでしまった」女性のケース
ある朝、60代の女性が「朝食中にパイナップルと一緒に、総入れ歯を上下とも飲み込んでしまった」と訴えて救急病院に運ばれてきました。
「入れ歯なんて大きいものを飲み込めるの?」と思われるかもしれませんが、義歯(入れ歯)の誤飲は、部分入れ歯のみならず総入れ歯でもめずらしくなく、高齢者にとりわけ多くみられます。
この女性の場合は上下ともに総入れ歯でしたが、夫がすぐに救急車を呼び、駆けつけた救急隊員によって「上の入れ歯」はその場で無事に摘出されました。ところが、運ばれた先の病院でも「下の入れ歯」が見当たらなかった。女性は問診後、すぐにX線検査で頸部(けいぶ) と胸部、つまり喉と肺のレントゲン写真を撮ったのですが、なにも写っていませんでした。
「もしかするとすでに胃に落ちたのでは」という可能性を考えて腹部の撮影も追加しましたが、やはりなにも見当たらない。そして、女性のカルテをみると「精神疾患の既往歴」がある……。
そこで診察にあたった医師は、「この精神疾患に多い妄想だろう」と考えたのです。
女性は徐々に弱っていき……
本人は意識もあり普通に会話ができる状態にまで回復している。ならば飲み込んだのは「上の入れ歯」だけで、「下の入れ歯」は口の外に出て自分の家のどこかに落ちているのではないか。あるいはもともと飲み込んでない可能性もある。レントゲンで調べてもどこにも写っていないし、精神疾患の症状に多い妄想によって「飲んでしまった」と思い込んだのだろう。
そう見立てた医師は、カルテに「妄想」と記載し、口の中を覗くこともなく診察を終えて患者を帰宅させました。
帰宅後、女性は自宅で普段どおりに過ごしたそうです。行方不明の下の入れ歯が部屋のどこかに落ちていないか、夫婦で探したそうですが、みつかりませんでした。ところが、翌日から女性の不調がはじまります。嘔吐が止まらず、固形物はなにを食べても吐いてしまう。液体のジュースや牛乳をストローで飲むのが精一杯。
翌々日も同じ症状が続いたため、近所のかかりつけ医を受診しますが、「風邪が流行っているから、感染性胃腸炎でしょう」と診断されて点滴と風邪薬を処方されて帰されます。このとき、「2日前に入れ歯を誤飲して病院へ行った」との経緯を伝えていれば、もしかすると女性の命は助かっていたかもしれません。しかし夫も本人も「入れ歯はない」と言われていたため伝えませんでした
なぜ、女性は亡くなってしまったのか?
さらにその翌日、嘔吐症状が続いた女性は再びかかりつけ医を訪れたところ、今度は「原因不明だから入院を」と大病院への紹介状を渡されます。ところが、かかりつけ医からの帰路で女性は倒れ込み、偶然とおりかかった警察官が救急車を呼ぶも、その時点ですでに心肺停止状態に。
その状態で病院に運び込まれた女性の人工呼吸を試みようとした研修医が、喉頭鏡(口の中を開ける器具)で喉の奥をのぞいたところ、そこにU字型の「下の入れ歯」がすっぽりはまっているのを発見します。
研修医はマギール鉗子 (手術器具)ですぐに入れ歯をつまみ出しましたが、女性はその翌日に死亡。「入れ歯とパイナップルを飲み込んでしまった」と病院に最初に駆け込んでから5日目のことでした。
総入れ歯を丸ごと誤飲→医師が「妄想だろう」と受け流すも、5日に死亡…60代女性を死に追いやった衝撃すぎる「医療ミス」の全容 へ続く
飯野 守男/Webオリジナル(外部転載)
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