不安や怒りを抱えているとき、どうしたらマイナスな感情を消すことができるのだろうか。精神科医である著者が自身の経験を踏まえ、いつでも上機嫌でいられるコツを解説する。※本稿は、精神科医の和田秀樹『なぜあの人はいつも上機嫌なのか』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
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● “逃げ”の気晴らしは イヤな感情を長引かせるだけ
理屈では感情を操作することはできない。ということは、イライラや不安などの悪感情から「逃げる」ための「理由」をつけて気晴らしをしても、イライラや不安は解消しないということです。
「ずっとイライラして仕事が手につかない。こういうときはさっさと切り上げてお酒でも飲もう。明日から集中すればいいんだ」
いかにもいい対処法のようですが、イライラした気分でお酒を飲んでも楽しく酔えるはずはなく、もともといい気分ではないので同僚とつまらないことでいい争ったりして、よけいに気分が悪くなることもあります。すると翌日はまたその気分の悪さを引きずってしまうなど、最悪の行動になることもあります。
「明日のプレゼンの準備に不安があるけど、あれこれ考えたってもう遅い。家に帰って映画でも観よう」
頭のなかから不安を取り除くには、何かべつのことに気を奪われたほうがいいこともありますからこれも一見、正解のようです。
ところが映画を観ていてもチラチラと明日のプレゼンのことが気になります。ビジネスパーソンの登場する映画なんか観てしまうとますます思い出します。すると、気を紛らすどころかかえって不安になってきます。
「あんな準備でほんとうに大丈夫なんだろうか。突っ込まれたら答えられないことがいくらでもあるじゃないか」
結局、気になって眠りが浅く、翌日は早朝出勤して、時間がない中でプレゼンのチェックをします。「こんなことなら昨日のうちにもっと準備を徹底させるんだった」と後悔することになります。
気晴らしがもし、怒りや不安といった感情の乱れを忘れるためだとしたら、それは結局、こだわっているということです。こだわりも感情ですから、理屈で説得したつもりでも全然、納得していないのです。
● いつも通りの暮らしを実行すれば イヤな感情は消えていく
では、怒りや不安を消すためにはどうすればいいのでしょうか。
怒りや不安を消すひとつの方法は、当たり前の暮らし、いつも通りの暮らしを実行することです。
ちょっと変ないい方ですが、仕事や職場の人間関係で生まれたイヤな感情は、私生活をきちんと実行することでほとんど消えてしまうのです。
たとえばイライラして仕事が手につかない一日だとしたら、早めに帰宅して好きな料理をつくってみたり、部屋を片づけてスッキリさせ、好きな作家の本でも読むようなことです。家族がいるなら妻や夫、子どもたちとその日の出来事を話し合ったり、ゆっくりと食事を楽しむようなことです。
そういう時間をもつことができれば、自分の感情に対して安心感が生まれます。
あっち(仕事や職場)のことはこっち(私生活)と関係ないし、あっちがダメでもこっちがちゃんとできるなら「まだまだ大丈夫」という気持ちになるからです。
気晴らしが、もし、いつも通りの安定した生活からも逃げてしまうようなことなら安心感は生まれません。
「お酒でも飲もう」と思っても、それはイヤな感情から逃れるためだったら、安心感は生まれてきません。結局、イヤな感情にこだわっていることになるからです。
大事なのは「いい感情」をつくることです。イヤな感情を忘れるために何かに頼らなくても、「いい感情」を自分からつくり出せばイヤな感情は自然に消えていくのです。
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● 「感情コンディション」のいい人は 行動も自由で若々しい
自分がほんとうに望んでいることを受け入れ、それを実行できるようになれば、あまり気の進まないことでも「たまにはいいか」とおおらかに応じることができます。
同じ「たまにはいいか」でも、イヤな感情を忘れたい、気分を晴らしたいと思って応じる「たまにはいいか」とは全然、違います。
なぜならもう、いつでも「いい感情」をつくることができるからです。
そういう自分に安心感をもっているからです。
これは、こころがリラックスしている状態です。イヤな感情に包まれているときはこころもザラザラして、どこか尖っていますから、たとえ気分転換のつもりでも些細なことで感情的になったりしますが、リラックスしていればそんな心配はありません。
いつも機嫌のいい人を思い浮かべてください。
あまり乗り気ではない誘いでも、軽く受けて軽く楽しんで軽く引き上げていきます。
不自然な印象を与えることもありません。あくまで自然で、自由な動きです。
つまり「感情コンディション」のいい人は、行動も自由なのです。自分の「いい感情」を守るためにつき合いが悪くなったりとか、人間関係が偏ったりとかいうことはありません。ここでも自由なのです。
すると感情的にさまざまな刺激を受けます。
さまざまなタイプとつき合えるのですから、いつも自分の感情が揺さぶられます。
怒りん坊もいれば泣き虫もいて、クールなタイプもいれば、情熱的なタイプもいます。
自分と同じようなタイプとだけつき合うなら感情も安定するかわり、これといった刺激も受けませんが、揺さぶられるというのは感情を溌剌とさせる大事な条件です。
だから機嫌のいい人、「感情コンディション」のいい人はいつも若々しいのです。
機嫌がよくて、行動も自由だから、さまざまな感情と出合え、それを楽しんで、さらに感情が溌剌としてきます。そういう好循環が、若々しさを生み出します。
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