2月8日投開票の衆院選まで2週間を切りました。筆者が代表を務める選挙コンサルティング会社が週末に行った複数の小選挙区で実施した固定電話調査からは、比例投票先について興味深い傾向が浮かび上がっています。
無党派層の24%が「中道」に投票意向
図は筆者作成筆者が代表を務める選挙コンサルティング会社では、先週末、日本全国の複数の小選挙区を対象に固定電話による電話調査を行いました(最終回答数約6,000)。その結果から支持政党と比例投票先のクロス分析を行ったところ、立憲民主党と公明党が結成した「中道改革連合」に投票すると回答した人は全体の25%に達し、自民党の42%に次ぐ第2勢力となりました。
特筆すべきは「支持なし」層の動向です。無党派層のうち24%が比例で中道に投票すると回答し、自民への投票意向(12%)の2倍に達しました。ただし無党派層の過半数(51%)は「未決定」と回答しており、最終盤まで情勢が流動的になる可能性を示唆しています。
固定電話調査は回答者が高齢層に偏る傾向があります。携帯電話のみを使用する若年層は調査対象から外れやすく、結果として60代以上の回答が相対的にかなり多くなります。裏を返せば、この数字は「投票に行く可能性の高い高齢層」の意向を色濃く反映しているともいえるのです。
過去の国政選挙でも60代以上の投票率は70%前後で推移する一方、20代は30%台にとどまることが多く、真冬の選挙ではこの傾向がさらに顕著になることが予想されます。前回の衆院選や昨年の参院選は若年層が多く投票したことが話題になりましたが、厳冬期の選挙ということも踏まえて若年層が動かなければ、高齢無党派層の動向が選挙結果を大きく左右する可能性があります。
立憲支持層の81%、公明支持層の83%が比例で中道に投票すると回答しており、両党支持者の投票先はしっかり固まっています。中道は比例で統一名簿を作成し、公明出身者は小選挙区から撤退して比例に専念する戦略です。各選挙区で1万〜2万票とされる公明票が立憲出身の候補にどの程度流れるかが、小選挙区の勝敗を左右する重要な要素となりそうです。
維新支持層に「迷い」の兆候
一方、維新支持層の比例投票先を見ると、維新候補への投票意向は51%にとどまり、中道(20%)、自民(9%)への流出が見られます。連立パートナーでありながら自民と80超の小選挙区で競合している現状が、支持者の戸惑いを生んでいるのかもしれません。
また、維新は今回、自民候補108人への推薦を決定しました。連立与党として協力姿勢を示す狙いがあるとみられますが、与党内の一部からも「野党時代の改革姿勢との整合性が問われる」との困惑の声が漏れ聞こえます。候補者調整には否定的な姿勢を示しながら推薦は出すという「ねじれ」が、維新支持者の投票行動にどう影響するか注目されます。
選管は準備に追われ、大雪が選挙戦を直撃
今回の選挙は1990年以来36年ぶりとなる2月投開票の厳冬期選挙です。北海道では札幌市を中心に記録的な大雪が続き、24時間降雪量が54センチと1月の過去最多を更新しました。JR札幌駅発着の全便が運転見合わせとなるなど交通にも影響が出ており、各陣営の街頭演説も中止や延期を余儀なくされています。「真冬の解散は北海道を無視している」との恨み節も聞かれます。
選挙管理委員会も準備に追われています。横浜市や名古屋市でも入場整理券が期日前投票開始に間に合わない見通しで、各選管は「入場券がなくても本人確認ができれば投票できる」と周知に努めています。戦後最短16日間という超短期決戦の影響が全国に広がっています。これらの一連の報道が、突然の解散総選挙そのものが地方に負担を与えているという風に伝わり、高市首相の解散そのものの正統性を否定する論調として伝わりつつあります。
高市首相、解散後初の週末は街頭に立たず
高市首相は解散後初の週末となったこの土日、街頭演説を行わず公邸で過ごしました。高い内閣支持率を背景に「自分たちで未来をつくる選挙」と銘打つ今回の解散ですが、所信表明演説すら行わない冒頭解散に対し、野党からは「経済後回し解散」との批判が続いています。2026年度予算の年度内成立は困難となり、暫定予算の編成が不可避との見方がでています。
今後2週間の選挙戦で、高齢無党派層がどれだけ投票所に足を運ぶかが勝敗を分ける焦点となります。厳冬期の低投票率は組織票を持つ政党に有利とされますが、今回は中道も公明党の組織基盤を引き継いでいます。若年層の投票率が伸び悩めば、高齢無党派層の「中道志向」が顕在化し、予想以上の接戦に発展する可能性も否定できません。
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