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世界が戦争に向かった1926年と2026年の状況があまりに似ている理由、世界は民主体制を維持できるのか、独裁体制が相次ぎ出現するのか

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世界が戦争に向かった1926年と2026年の状況があまりに似ている理由、世界は民主体制を維持できるのか、独裁体制が相次ぎ出現するのか

1/25(日) 11:00配信



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東洋経済オンライン


1919年6月、第1次世界大戦後の秩序を生み出したヴェルサイユ条約にサインする各国首脳。右から2人目はアメリカのウッドロー・ウィルソン大統領(写真・Mirropix via Getty Images)


 ちょうど今から100年前の1926年は大正15年であり、なおかつ昭和元年だった。その年の暮れ12月25日から、昭和という激動の時代が始まった。大正天皇の崩御が1926年の暮れであり、昭和元年はわずか1週間で昭和2年となった。


在日フランス大使を務めたポール・クローデル(1868~1955年)の言葉


 一方、昭和という時代の終焉は昭和64年1月7日で、わずか1週間で平成に変わった。昭和という時代は、このなんとも切りの悪いタイミングで始まり、そして終わったのである。


 しかも昭和2年は恐慌に陥り、昭和64年はバブルの絶頂期で終わった。あれから40年近くが過ぎ、昭和という時代の記憶も、次第に薄くなり始めている。


■「昭和」の始まりに隠されていること


 しかし、忘れてはいけない教訓が昭和という時代の始まりの中に隠されていることは銘記すべきである。1926年という年は、日本にとっても世界にとっても大きな変化の年になってしまった。


 それは、ヴェルサイユ体制によって生まれた20世紀の新しい試み、それは世界を戦争ではなく平和的な外交と国際法によって組織し直そうという理想的な試みが、わずか数年で崩壊していくことを告げる年であったからである。


 それより100年前の19世紀の体制は、1815年のウィーン議定書によって始まった。国民国家による世界の再編である。しかしその再編は、いくたびもの戦争と最終的には第1次世界大戦という悲惨な戦争で幕を閉じる。その原因は国家間の対立と、それを解決する戦争という手段が野放しにされていたからである。


 そこで国家間の戦争を放棄させるヴェルサイユ条約による新体制が生まれた。その趣旨は、戦争を再び起こさないために国際連盟を創設すること(1920年)、戦争という行為を無効とする「不戦条約」の締結(1928年)、民族自決の原則を維持することであった。


 1919年6月28日ヴェルサイユで締結された国際連盟規約の冒頭には次のように書かれている。


「締約国は戦争に訴えざるの義務を受諾し、各国間における公明正大なる関係を規律し、各国政府間の行為を律する現実の規準として国際法の原則を確立し」(『国際条約集 2020年版』(有斐閣、2020年、39ページ)


■国際連盟、理想と現実の齟齬に苦しむ


 今後、国際連盟に入る締約国は、戦争という手段を使わず、国際法の原則にしたがって政治的、外交的に問題を処理することを加盟国は相互に誓った。日本も翌年にこれに署名し1933年に国際連盟を脱退するまでこれに従うことになった。


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 これは不戦条約を決めた国際法を逸脱する行為である。中国政府が、国際連盟憲章11条の戦争の脅威という条項を基に訴えた結果、リットン調査団が組織される。


 日本の戦争行為は、ヴェルサイユで決定された20世紀の新しい体制、すなわち国際法にしたがって、戦争を避けるという行為を破る最初のケースとなるのである。


 そしてそれは、国際社会は決して国際法にしたがって秩序を維持できるものではないことを最初に示したものであったとも言える。

 こうして第1次世界大戦以後に生まれた国際秩序を維持する国際装置である国際連盟は、その存続を含めた大きな試練の時を迎える。


 1933年2月24日、リットン調査団の報告を基に開かれた国際連盟総会で、日本の即時撤退を求める決議が賛成40、棄権1、反対1(日本のみ)で通過する。そしてその後日本は国際連盟を脱退する。


 日本国内では軍縮、移民法、恐慌といった不満がたまっていたこともあり、満州事変のみならず、中国への戦線拡大をむしろ歓迎する動きが拡大する。やがて軍部が強くなり、それに対する批判の声も、繰り返されるテロ行為とそれに対する国民の支持の下、沈黙を強いられる。

 当時の衆議院議員であった弁護士・政治家の斎藤隆夫(1870〜1949年)は、国際連盟が無力であることをこう国会で嘆く。


「ヨーロッパ戦争が生み出しましたところの国際連盟、世界平和を目的としているところの国際連盟も、国家競争の前には何らの威力も発揮することが出来ない。如何なる条約も力の前には蹂躙せられてしまうことは、昔も今も変わりない。今日国際関係を支配するところのものは、正義の掛け声でもなければ、道義の観念でもない。世界を支配したるものが力であるごとく、今日の世界、明日の世界を支配するものもまた力である」(斎藤隆夫『回顧七十年』中公文庫、1987年、226ページ)

■アメリカは民主国家を続けられるか


 こうして第1次世界大戦以後に作られた法による国際秩序は崩壊し、再びその国際秩序が戻ってくるのは、第2次世界大戦後の1945年のことである。それは国際連合という新たな組織であった。これはとりわけ戦後の世界を支配したアメリカ合衆国の力によるところ大であった。


 しかし2026年の今、戦後体制は大きな変化の時を再び迎えようとしている。大恐慌が国際連盟を崩壊させたように、リーマンショックが再び国際連合を崩壊させるきっかけとなったのかもしれない。第2次世界大戦後に作られた国際体制も、再び崩壊しようとしている。それはとりわけその成立の立役者であったアメリカ合衆国のトランプ政権が、国際法を無視し始めていることからもわかる。

 2026年という今年、世界はその80年の体制を崩壊させてしまうのか、それとも再び秩序を立て直すのか。それが今後の世界の大きな課題であろう。経済も、法律も、政治も、人間のいとなみである以上、完璧なものではない。


 民主主義の祖国として世界を牽引してきたアメリカ合衆国で、民主主義を踏みにじる独裁者が出現するのか、それともそれが阻止されるのか。ヒトラーも合法的選挙で選ばれ、そのまま独裁体制を敷いたという史実は決して忘れてはなるまい。一歩間違えば、あのアメリカでさえ独裁者の国になることはありえるのだ。

的場 昭弘 :神奈川大学 名誉教授




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