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それだけは言ってほしくなかった」不登校だった母の内面、漫画に 描きたかった「逃げた先」にあるもの

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それだけは言ってほしくなかった」不登校だった母の内面、漫画に 描きたかった「逃げた先」にあるもの

学校に行きたくない」。それは、不登校を経験した母親が恐れていた言葉でした。「娘には それだけは言ってほしくなかった」ーー。学校に行かなかったから困ったこと、負い目になっていること、過去の出来事に心を痛める中、娘を訪ねてきたスクールカウンセラーを通して、母の救いになったこととは……。マンガのSNSを運営するコミチとwithnewsがコラボし、「#ミライの学校」をテーマに作品を募集。大賞に決まったコジママユコさんの作品には、勉強する機会を守りたいという思いが込められています。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子)

【マンガ本編はこちら】「それだけは言ってほしくなかった」不登校だった母の本当の気持ち 泣く娘を前に… コジママユコさんの「娘と私の学校」
 
 「おかぁさん……がっこう…いきたくないよぅ…」

 娘が口にした言葉は、この漫画の主人公であるお母さんが、ずっと恐れていたものでした。戸惑いを隠しきれないまま、「学校行かないと将来大変だよ」と語りかけます。漢字や算数を引き合いに、「みんなが知っていることを知らないと 損することたっくさんあるんだよ」と娘を諭します。

 母の気持ちがこもるのは、自らが経験してきたことだからです。学校でいじめに遭い、不登校に。中学卒業後はバイトをしながら定時制の高校に通いました。しかし中卒の時給は安く、定時制高校でも勉強の遅れを実感し、居心地の悪さから遠ざかってしまったのでした。

 「本当は心理学の勉強がしたかった」秘めた夢も叶わず、授かった娘をひとりで育ててきました。

 そんな中、スクールカウンセラーの「水沢さん」が娘を訪ねてきます。「今はゆっくりお家で過ごしましょう」と話す水沢さんに、母は「でも先生 それじゃ将来…」と焦りをにじませます。

 「授業の遅れについては…オンラインで補いましょう」。水沢さんが提案したのは「オンライン学習」。実はこの作品の中では、年齢や国籍にかかわらず、さまざまな事情で学校に通えない人たちが、インターネットを通して教育を受けられるシステムが生まれていました。

 予想していなかった展開に、「たとえばですけど 私みたいな年齢でも?」と訪ねる母。笑顔で「はい」と答える水沢さんに、母は泣き崩れてしまいます。心の中にあった「学校なんかくだらない 大嫌いだった」という気持ちに向き合います。

  「でも 学校に行きたかった」

逃げてもいい」のその先に 
 漫画「娘と私の学校」の作者・コジママユコさんは、「学校に行けなくなった後、勉強の機会を失った子どもたちがどうしたらいいかについて考えたかった」と話します。

 コジマさんはこれまで、学校や家に居場所がない子どもを主人公に、そこにある苦しみや救いを漫画で描いてきました。近年、メディアやSNSなどでも「学校がつらいのであれば逃げてもいい」というメッセージが盛んに発信されるようになりました。しかし、それに対する意見や不安の声もあるのも事実。作中でも、母親のセリフとして語られています。

 「漢字読めないと困るし 算数できないとお買い物もできない 社会の仕組みとかもさ」「みんなが知っていることを知らないと 損することたっくさんあるんだよ」

  コジマさんが丁寧に扱いたかったのは、いじめなどさまざまな事情で学校に行けない/行かない子どもたちの教育を受ける権利です。ニュースなどで、読み書きや計算などの学力が十分に身につかないまま中学を卒業した「形式卒業者」の存在や夜間中学校の取り組みを知り、勉強の機会として「オンライン学習」を作中で描きました。「オンライン学習はひとつの方法でしかないのですが、選択肢があることが大切だと思っています」
 勉強することは、自分を肯定すること
 
 コジマさん自身は不登校ではありませんでしたが、中学時代、目的がわからないルールや当然のようにある連帯責任など、学校の管理体制に窮屈さを感じていたといいます。「おかしいな」と思ったことを、口に出せない雰囲気にも息苦しさがありました。

 しかし、大学で芸術や哲学を学び、多様な価値観に触れたことで、コジマさんの気持ちに変化が生まれました。「学問の特性もあって、大学で授業を受ける意味にさえも疑問を持って考える人もいました。これまで空気を読んで抑えていたことも、『言っていいんだ』っていう感じることができました」。学校のものさしだけじゃない、広い視野を持つ機会が必要だったのです。

 「私にとっては、勉強することが自分を肯定することにつながりました」

 だからこそ、学ぶ機会の大切さが身に染みています。「当時の私のように、苦しんでいる子がいたら」という思いから、コジマさんは「できれば学校や社会が変わってほしい」というメッセージが漫画に込められています。

 コジママユコさんのTwitter:@cotori9

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 不登校の小中学生の人数は年々増えており、2018年度は16万人超で過去最多となりました。不登校の子どもの教育については、2016年に「教育機会確保法」が成立。学校以外での多様な学びの場を支援する方針が盛り込まれ、子どもの「休養の必要性」も明記されています。2015年には、夜間中学校に「形式卒業者」が入学できるように、文部科学省が全国の教育委員会に通知を出しています。また2019年には、フリースクールなどの学校以外の施設で学ぶ不登校の子どもを「出席」扱いにする通知を出しました。一方、適応指導教室など学校外の施設や機関で相談・指導を受けた不登校の小中学生に占める割合は34.1%、学校内では48.4%にとどまっています(2018年度)。


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